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村上木彫堆朱の製造工程

記事ID:0035021 更新日:2018年4月1日更新 印刷ページ表示

木地に彫刻を施し漆を塗る、村上独自の技法

村上木彫堆朱の制作工程は三つに分けられます。

まず、朴(ほう)や栃(とち)などの天然木で、花びんやお盆、すずり箱、茶ダンスなどの木地をつくります。

次に、熟練した彫り師が、独特の彫刻方法で、花や鳥、川、海、岩などを繊細なタッチで彫ります。彫刻を施したものに、塗り師が、上質の漆を何回も何回も塗り重ねていきます。

この木地に彫刻を施し、漆を塗る技法が村上独自のものなのです。厚く塗りすぎると彫り目を埋めてしまうし、逆に薄すぎると仕上げ研きの際に、木地の角や模様の角が露出する恐れがあります。そこで、彫刻部分は指頭(指の腹)やタンポで叩きながら塗り、刷毛で調整します。厚からず薄からずに、指先に細心の注意を払いながら、辛抱強く塗りつづけていくのです。

村上木彫堆朱ができるまで(工程)

  1. 木地作り(木地師)
    充分に乾燥させた朴(ほう)や栃(とち)、桂(かつら)の木を用いて堆朱のベースとなる木地を作る。
     
  2. 下絵描き(彫り師)
    木地の正面に花鳥、山水、牡丹唐草など、彫刻の目安となる下絵が直接描かれる。強弱が表現できる毛筆書きが基本である。
     
  3. 木彫り(彫り師)
    下絵の上から裏白と呼ばれる彫刻刀を自在に操って木彫が行われる。平面的な肉合彫と立体的な引下げ彫がある。
     
  4. トクサがけ(塗り師)
    刀痕の粗さをサンドペーパー(古くはトクサを使用)で研磨し、彫刻に丸みと柔らかさを出す。
     
  5. 木固め(塗り師)
    生漆に紅殻を少量加えて、ハケを使って木地全体に漆をしみ込ませ、堅牢堆朱の基礎固めを行う。
     
  6. 錆つけ(塗り師)
    丈夫な漆器を作るために大切な下塗りの工程、生漆と研の粉を調合し、彫刻の無い無地部分に2~3回塗る。
     
  7. 錆研ぎ(塗り師)
    硬質の砥石を用いて塗面を水研ぎする。錆つけと共に2~3回繰り返す。錆つけ後、最低数日間は乾燥させる。
     
  8. 中塗り(塗り師)
    彫刻された模様を漆で埋めつぶさぬように、タンポや指頭で漆をたたき、刷毛で塗りあげる。(無油精製漆を使用)
     
  9. 中塗り研ぎ(塗り師)
    村上砥石と呼ばれるキメ細かな天然石の砥石や水ヤスリで、塗り面を丹念に水研ぎをする。
     
  10. 上塗り(塗り師)
    色鮮やかな朱漆を用いて、中塗り同様彫模様を埋めないように、タンポや指頭で漆をたたき、刷毛で塗りあげる。
     
  11. 艶消し(塗り師)
    上塗りされたツヤのある塗り肌を、木炭や砥の粉で水研ぎし、渋く落ち着きのある塗り物に仕上げる。
     
  12. 毛彫り(彫り師)
    再び彫り師の手に戻り、先の細かい三角刀で木彫を補うための細かい彫刻をほどこす。葉脈、羽毛、山肌などの表現
     
  13. 上摺り込み(塗り師)
    上質の生漆に少量の紅殻を加え、器物全体に刷毛で擦摺込む。ツヤ消し肌はしっとりと引き締まり完成となる。